
こんにちは、武内蔵人です。
今回は、テニスの「マインド(メンタル)」についてお話しします。
あなたは試合中、簡単なミスをしてしまった後にこんな言葉を自分に投げかけていませんか?
「なんであんなボールをミスするんだ!」「俺は本当にダメだ…」「このセットはもう終わった」
そして、そのイライラを引きずったまま次のポイントに入り、またミスを重ねて自滅する…。
これは、多くのアマチュアプレイヤー、いえ、プロでさえも陥る「メンタルの沼」です。
今日は、そんな負の連鎖を断ち切り、常に冷静なパフォーマンスを発揮するための具体的な技術、「自分実況(セルフ・ナレーション)」について解説します。
感情的な「評価」がプレーを硬くする
メンタルが崩れる最大の原因は、起きた事象に対して「良い・悪い」のジャッジ(評価)を即座に下してしまうことにあります。
ネットミスをした瞬間に「最悪だ(評価)」と感じると、脳はストレスを感じ、筋肉は緊張し、視野が狭くなります。この状態で次のポイントをプレーしても、良い結果は生まれません。
「なぜ?」と問うのは試合後でいい
特に危険なのが、「なぜ(Why)」という問いかけです。
試合中に「なぜミスしたんだ?」と自問しても、多くの場合、答えはネガティブな感情論に行き着きます。「練習不足だから」「メンタルが弱いから」といった曖昧な答えは、今のポイントを取る役には立ちません。
解決策:「事実」だけを実況する
では、どうすればいいのか。
おすすめしたいのが、アナウンサーになったつもりで、自分の行動を客観的に「実況」するというテクニックです。
感情を入れるのではなく、事実(Fact)だけを脳内で言葉にします。
- × 悪い例(評価):「うわ、バックハンドがアウトした。最悪だ、足が動いてないからだ」
- ○ 良い例(実況):「バックハンドがサイドに5センチ外れた。インパクトで少し面が開いていた」
違いがわかりますか?
後者はただの「データの確認」です。データであれば、次の修正点も冷静に見えてきます。「次はもう少し膝を曲げて面を被せよう」という具体的なアクションプラン(Instruction)に繋がるのです。
「インストラクショナル・セルフトーク」への転換
スポーツ心理学では、これを「インストラクショナル・セルフトーク(指示的自己会話)」と呼びます。
「気合を入れろ!(感情)」ではなく、「スプリットステップを早く(指示)」に変えること。
脳のメモリを「後悔」ではなく「次の動作の実行」に使うだけで、パフォーマンスの波は驚くほど小さくなります。
「16秒間」の儀式を持とう
ポイント間には約20秒〜25秒のルールがありますが、この時間を有効に使うルーティンを作りましょう。
- ミス直後の3秒:「事実」を確認する(ネットにかかった、打点が遅れた)。
- 次の5秒:ガットを直す、深呼吸をするなどして視線を遠くに外し、脳をリセットする。
- サーブ/レシーブ前の5秒:次の具体的なプランを「実況」する(「ワイドにサーブを入れて、返球をオープンコートへ」)。
この手順を練習から繰り返すことで、メンタルは「性格」の問題ではなく、「技術」として強化することができます。
まとめ:メンタルは技術でカバーできる
「メンタルが弱い」と悩む人の多くは、心が弱いのではなく、心の使い方の「手順」を知らないだけであることがほとんどです。
次の練習から、ぜひ心の中で「自分実況」を試してみてください。
ミスをした時こそ、冷静なアナウンサーの声で「今のはフレームショットですね。次はボールをよく見ましょう」と自分に語りかけてみてください。
あなたのテニスが、よりタフで、より楽しいものになることを願っています。
武内蔵人でした。