運動神経と身体能力!テニスの上達に必要なのはどっち?

最近よくテニスの雑誌でも「あの選手は身体能力が上がったので、世界ランキングを伸ばすことができた」など、たびたび”身体能力”という言葉をよく見かけます。

でも。昔からよく使われている似たような言葉で「運動神経が良い・悪い」があります。

医学的にはそのような名前の神経自体はありません。

 
この昔から頻繁に口にされる「運動神経」という言葉と「身体能力」という言葉は意味が全く違います。

では、テニスが上達するのにどっちが重要なのか?どっちを強化すべきなのか?

今回は「身体能力」と「運動神経」に注目し、お話したいと思います。

 

目次

「身体能力」と「運動神経」の違い


まずは「身体能力」と「運動神経」の違いについて理解しましょう。

わからないままだと話が進みませんからね(笑)

 

「身体能力」について

文部科学省によると、「身体能力」は、以下の8要素だとしています。

筋力 身体全体を動かすための土台となる能力
筋持久力 筋力を使って身体を長時間動かし続けられる能力
瞬発力 短時間で筋力を十分に発揮できる能力
心肺持久力 運動時に呼吸機能を長時間正常に働かせられる能力
敏捷性 筋力を使って素早く反応し身体を動かす能力
平衡性 不安定な足場にて身体のバランスを取ることができる能力
柔軟性 関節が柔らかく、身体の反応に合わせてスムーズに動ける能力
調整力 身体の動きを総合的にコントロールする能力

この8つになります。

これらが一定レベルに達することが必要になります。

 

「運動神経」について

脳・脊髄(せきずい)のような中枢から筋肉・内臓などに刺激を与え、運動を起こさせる神経の総称。

頭部では脳神経、体部では脊髄神経として、中枢から離れて末梢に向かうので、遠心性神経という名称でも呼ばれています。

どちらも総称のことを言いますので、単一のことではありません。

 
文部科学省の規定から見ると、「身体能力」とは運動をしている際に、その場に適した反応に沿って行動することができる「身体が備えている能力」を指しています。

それに対して「運動神経」とは、身体の能力(つまりは身体能力)を状況に合わせて上手く使うことが出来る「脳の指令(判断)力」(神経を通して筋肉などに信号が送られる)ということになります。

 

テニスにはどちらの能力が必要か?


たとえば、「筋力と瞬発力、敏捷性」などが優れているテニス選手のAさんがいるとします。

Aさんは「身体能力が優れている」と言えるでしょう。

 
しかし、残念ながらAさんが「運動神経は良くない」場合、実際の試合には、その素晴らしい身体能力は宝の持ち腐れで、役には立ちません。

なぜなら、その身体能力を使ってプレーをする指示を、脳は瞬時かつ的確に判断して、身体の各部位に送ることができないからです。

そのためワンテンポ遅れて身体が動く、などの現象が見られるでしょう。

 
次に、「筋力、筋持久力」など、総合して「身体能力が劣っている」テニス選手のBさんがいるとします。

Aさんとは反対にBさんが「運動神経は良い」場合、どんなことが起こるでしょうか。

 
Bさんもまた、Aさんと同じく実際の試合では活躍はできません。

というのもBさんは運動神経は良いため、頭ではどう動けば良いか、テクニックという意味では理解できています。

しかし能力の低い身体では、脳内のイメージ通りにうまく動かすことができず、結局は状況に対応することができないからです。

以上の例から言えるのは、「(Bさんのように)運動神経が良く、テクニックや技術は上手くても、それを活かすベースである身体能力が劣っていれば意味が無い」ということです。

 
こう説明すると、「Aさんのように優れた身体能力があっても、指令を出す運動神経がよくなければ宝の持ち腐れじゃないの?」と思われた方もいるかと思います。

しかし(平均レベルではなく)優れた身体能力を持っていれば、ある程度練習を重ねさえすれば、能力のある身体が的確な動きを覚えるため、技術力の足りなさをカバーできるんです!

しかも、テニスはボールがどれくらいバウンドするかを感覚で覚える必要があります。
 
したがって優先順位をつけるなら、どれだけ脳内イメージで技術があったとしても、それを現実の身体で表現できないほうがパフォーマンス力としては問題なのです。

ということはテニスでは「運動神経」より「身体能力」の方が重要ということになります。

 

運動神経はおまけ


テニスでは「運動神経」はおまけだと思ってください。

確かに運動神経がよければ思うように体を動かすことができますが、それはあくまで身体能力内の話になります。

身体能力以上に動かすことはできません。

 
その点、体は鍛えれば80歳までは筋肉を強化することができます。

ということは「身体能力」は80歳まで伸ばせるということです。

だからテニスは高齢者でも楽しめるんですよ。

だから、もし「運動神経悪いから・・・」なんて理由でテニスの上達を諦めている人のために僕はハッキリ言います。

「テニスに運動神経はあまり関係ありません!
努力した分必ず上達するのがテニスです。
ただし、努力しないと上達しないのがテニスです!」

もし、友人や生徒が同じように悩んでいたら、教えてあげてくださいね!

おすすめの記事